そもそもネットリサーチとは何でしょうか。具体的にはインターネットを通して調査対象者に対し、アンケートサイトにアクセスしてもらいインターネット上で回答をしてもらう調査手法に当たります。
もちろんのことながら従来から電話調査や郵送調査、訪問調査等はありますが、経費や時間の側面からメリットがある調査手法に当たります。
また、インターネットにアクセスできる人口が非常に多くなっている以上、調査対象の絞り込みをかけることも非常に簡単になっており、数多くの企業がマーケティング手法の1つとして活用しています。
ネットリサーチのメリットとデメリット
まず、ネットリサーチのメリットですがなんといっても低コストでかつ短い期間で多くの回答を得ることができることになります。また、予算に応じて回答者数を増減させたり、場合によっては内容もカスタマイズすることができるのがメリットだと言えるでしょう。
ネットリサーチのデメリットは、場合によってモニターに偏りが生じることです。インターネットを利用しない職業や年齢層に対してはアプローチができません。また、ダイレクトにコミニケーションを取るわけではありませんので、回答の信憑性についても確認することができないのがデメリットだと言えるでしょう。
ネットリサーチの活用方法
新商品やサービスを開発するため、新しいニーズやシーズを発見するため、蛮勇とは既存商材の顧客満足度や課題を抽出するためなどにネットリサーチは有効だと言われています。調査によって判明した認知度や満足度を通じて定期的に調査を行う手法にも活用されています。
次にマーケティングツールとしての活用方法です。調査結果から見込み客獲得のためのフックとしてイベントの企画やサイトの企画に結びつけることも可能です。
手軽に調査できることにより、調査結果を企業のブログなどのコンテンツ作成のために活用することも可能です。新たなコンテンツを作成する際の信頼性向上や主張の裏付けにもなります。また調査結果をデータベース化し、顧客にPRすることによって露出を広げることも可能になります。
ネットリサーチのサービス比較について
ネットリサーチには様々な種類があります。それぞれのポイントを具体的に挙げていきたいと思います。
リサーチャーサポート型
ネットリサーチで難しいのは調査票を作成すること、そして結果データを分析することになります。このような課題を解決するために調査の専門家であるリサーチャーのサポートが受けられるサービスがリサーチャーサポート型になります。
コストや期間はかかりますが、ネットリサーチに対して慣れていない事業者に対してオススメの手法になります。このようなタイプは一般顧客に対して数多くの対象者を抱えている事業者も多いため、様々な種類のリサーチを展開することができるのも大きなメリットです。
しかしながら定量データ、特に数量が多いリサーチをすることには適していますが、より深い声を聞いたり定性データを入手する手法としては向いていないといえます。
もう少し具体的に挙げていけばアンケートモニターが多いこと、継続に利用している方々が多いことも手伝い、継続的にアンケートを行い、変化点をチェックする面でも優れているかもしれません。また、手軽にアンケートを行うこともできますので、コストさえ許せば、シンプルな情報を得たい場合、さらには裏付け情報を得たい場合の参考にすることも可能となります。
セルフ型
調査票を作成やデータ集計後の分析を自社で行うセルフ型になります。スピードやコスト面で非常にお手軽になります。基本的にはアンケートを実施するにあたってのフォーマットが設定されており、シンプルなアンケートを行いたい場合に適しているとされています。
しかしながら、複雑なアンケートを行うことが難しいこともあり、深い声を聞き取ることが定量データとしても難しいところは難点だと言えるでしょう。
比較的このようなネットリサーチを得意としている事業者が少ないこと、最近ではインターネット上で汎用データベースを活用してアンケートを行うことができるようになっていますので、多くのモニター数を抱えている事業者を優先して選択する以外にメリットが少ないと言えるかもしれません。
定性調査
ネットリサーチとは言え、回答者とインターネット経由でじっくりと対話しながらアンケートを行う調査もあります。チャット方でインタビューを行ったり、ズームなどを活用して集団でインタビューを行ったり、覆面でインターネットを経由してインタビューするなど、深層心理を聞き取ったり、ターゲットを絞った上でのアンケート調査を行う場合に適したシステムになっています。
デメリットとしては、ユーザの絞り込みをかける際に、回答者がインターネットの環境を備えているかどうかと言う大前提をクリアしなければいけない点だと言えると思います。
場合によっては国内だけではなく、モニターの絞り込みの結果海外のユーザに対してもアンケートを行うことができるのが一番大きなメリットでしょう。
以上の通りネットリサーチは様々なサービスを比較して利用することが可能です。まずは自社でどこまで行うのかを明確にし、コストを明らかにすることからスタートです。もちろんのことながら、どのようなネットリサーチを利用するかといった手法論よりもどのような結果を求めたいのか、何が目的かを明確にすることも重要だと思います。
ここまで明確にしておけば、いくつかの手法のうち、どのようなネットリサーチが適しているかはおのずと見えてくるはずです。
調査前に知っておきたいネットリサーチの問題点
マーケティングリサーチなどの一環でネットリサーチがおこなわれる機会は以前よりも増えましたが、ネットリサーチにはいくつかの問題点があります。
簡単で便利で効率的ではあるものの、問題点が何もないわけではありません。そこでネットリサーチの問題点についても見ていきます。
ネットリサーチの問題点は虚偽解答が含まれること
ネットリサーチの問題点は、調査の性質上虚偽解答が含まれやすい点です。ではなぜ虚偽解答が含まれるのかを掘り下げていきましょう。
質問文をよく読まないで回答する回答者がいる
虚偽回答が含まれる理由の1つが、質問文をよく読まない回答者の存在です。ネットリサーチが普及したことで、回答者はネットアンケートに慣れてきています。まだ普及し始めた頃は質問文をよく読んで回答していたはずですが、慣れてくると適当に回答しても問題ないと考えるようになります。
すべての回答者が、質問文をよく読まないわけではありません。質問文をしっかりと読み、じっくり考えながら回答する回答者ももちろん存在します。ですがよく読まない回答者も存在するため、質問文に対する回答の信憑性が損なわれる可能性があります。
大勢いる回答者の数人だけが質問文をよく読まないのであれば、誤差の範囲で処理できます。ですが10人20人といい加減な回答をする回答者がいたら、そのネットリサーチの結果は疑わしくなります。
それではネットリサーチをおこなうこと自体の意味が薄れますから、問題点としてたびたび挙げられています。
報酬の安いアンケートは回答者が真剣に回答しない
ネットでアンケートを実施する際、回答者に報酬を与えるケースはめずらしくありません。アンケートに回答した謝礼に報酬を出すのは、ネットリサーチでよくある方法です。
報酬を出すなら回答者が真剣に回答してくれるだろうと期待しますが、残念ながら絶対真剣に回答してくれるとは限りません。報酬が安い場合は、真剣に回答しないケースが見受けられます。
「たくさんの質問に回答しても報酬が安いなら真剣に回答しなくて良い」と考える回答者も中にはいます。そうした考え方の回答者は、たとえば1~4までの選択肢の中ですべて3を選択したりなど、最初から真剣に回答しないで報酬をもらおうとします。これもまた虚偽回答に含まれますから、回答の信憑性が著しく損なわれます。
安い報酬でアンケートの回答に参加してもらえるのは良いですが、ネットリサーチゆえの問題点でもあります。
このような虚偽回答の対策として、質問文の中に特定の選択肢を選択するように指示する質問を混ぜておくことがあります。そうした質問文を混ぜておけば、質問文をよく読んで回答しているかどうかが判断しやすくなります。その回答者の回答は当てにならないため、後で回答結果から除外することで信憑性を保つ対策方法です。
ただこれはあくまで対処法ですから、ネットリサーチの根本的な問題の解決にはなりません。
ネットリサーチの問題点は回答者の性質が偏りやすいこと
ネットリサーチの問題点の1つに、回答者の性質が偏りやすいことも挙げられます。どういうことなのかを深掘りして解説します。
ネットをあまり利用しない高齢者の回答が集まりにくい
今はスマホが全世代に行き渡っていますが、それでも高齢者はネットをあまり利用しないことが多いです。まだガラケーのままの人もいますし、たとえスマホを持っていたとしても電話とLINEと簡単なネット接続ぐらいしかしないケースはめずらしくありません。
そのためネットリサーチは、高齢者の回答を集めにくい側面があります。なぜなら回答してくれる高齢者をみつけにくいからです。20代や30代の回答ならすぐに集まりますが、60代70代の回答を集めるのは大変です。
どの年齢をネットリサーチするかによりますが、ネットをあまり利用しない高齢者の回答を集めにくいのはネットリサーチの問題点です。
同じ回答者ばかりが重複すると結果が偏りやすい
本来ネットリサーチは、ある程度無差別におこなわないといけないものです。ですがネットリサーチの場合、同じ回答者ばかり回答してしまう傾向があります。
特に報酬を出すネットリサーチは、報酬目当ての回答者が積極的に参加します。たとえ報酬目当てでも回答してくれるのはありがたいですが、それが連続するといつも同じ回答者ばかりが回答することになります。
同じ回答者ばかりでは、回答に偏りが出ます。その回答者の考え方やライフスタイルばかりが回答に反映されたのでは、真実を表しているとは言い難くなります。いろいろな回答者から回答を得られなければ、どうしても回答に偏りが出ます。
このように同じ回答者が連続して回答するのを防止するためには、ネットリサーチをする前に制限を設けることがポイントです。つまり以前回答した履歴のある回答者は、最初から除外して回答できないように制限を設けます。これなら同じ回答ばかり集まることはなくなり、回答者の属性が平均化されます。
手軽で便利なネットリサーチですが、回答が偏りやすい特徴があります。どうやったらそれを防げるのか、あらかじめ手を打っておかなければいけません。事前の対策がとても重要です。
ネットリサーチの問題点についていくつか取り上げてそれぞれ解説しました。
簡単でコストもかからないネットリサーチですが、問題点が皆無ではありません。虚偽回答や回答者が重複してしまうリスクや、高齢者の回答が集めにくいなどの問題点があります。
ただネットリサーチそのものは有効的な調査方法ですので、しっかり対策することが大事です。ネットリサーチの問題点をしっかりと把握したうえで調査しましょう。